2018年9月11日
回転寿司?・ダーッ
「トロパラ・ファイト・クラブ」のハラちゃんでぇ~す。
我々のホームグランドであるセブ島最南端のサンタンデール「リロアン」は、目の前にあるネグロス島との海峡に位置するため、潮の出入りが非常に激しくなる場所である。
沖合いでは冷たい深海水を持ち上げ、ぶつかり合う潮の流れは排水口のように渦を巻くこともある。
セブ島の東西からの潮はこのエリアで入り混じり、多種多様な海中生物の源を次々と運んでくれている。このエリアが海中生物の宝庫と言われている要因のひとつが、この潮の動きであることは間違いないだろう。
だが、カメラを持ってじっくり撮影したいダイバーにとって、潮の流れはある意味厄介な存在でもある。
もちろん、潮の流れの影響が少ないポイントをお客様にご案内するのだが、それでも潮の影響を受ける場合がある。
今回は、そんな時の潮の流れを利用したファイトをご紹介したいと思う。
画像は同じ場所にごっちゃりといた、ベラの仲間3種を真横から撮影したものである。
1枚目の画像は今回のターゲットである「ブルーストライプ・フラッシャー・ラス」4cm程度の♀だ。
ところで、回転寿司をご存じだと思うが、ターンテーブルのような物でたくさんの種類のお寿司を目の前に次々と運んできてくれる。運ばれて来るお寿司を見てるうちに、アレもコレもと手を伸ばしてしまい、ついつい食べ過ぎてしまうのだ。上手く出来たシステムだなぁと思う。
魚の中にはプランクトンなどの浮遊物を捕食する魚達が多くいる。エサを探しては食べるという行動を繰り返す為、自分のテレトリー内をランダムに泳ぎ回っている場合が多い。
実は、この魚達にとって潮の流れは回転寿司のターンテーブルみたいなものなのだ。潮の流れと一緒にお寿司を運んできてくれるので、目の前に来た選り好みのお寿司を簡単に数多く捕食できるというわけだ。
しかも、潮が流れてくる方向を向き、無駄に動き回ることもないので、流れてくるお寿司を待ちながら整列しているという状況が発生する。
これを利用する手はないだろう!
2枚目の画像は「クロヘリイトヒキベラ」5cm程の♀である。近くにいたので撮影した。潮の流れてくる方向に頭を向けている。
狙う被写体が決まれば、自分の体をしっかりと固定できる場所にポジションをとろう。
流れの強さや撮影環境にもよるが、流れに対して垂直もしくは魚と同じ方向を向いてポジションをとるのがお勧めである。
中途半端な体勢だとガッツリした撮影が出来ないので、流れに負けないようしっかりと体を固定しよう。
後は魚に刺激を与え過ぎないようじっくりとファイトを繰り返すのだ!
3枚目の画像は一緒に混じっていた「ヤマシロベラ」5cm程度の♀。こちらも潮の流れてくる方向に頭を向けている。
泳ぎ回る魚の撮影は大変だと思って避けているダイバーも多いのではないだろうか。ある意味、この状況は「ダブル回転寿司」でもあるのだ。
魚達は目の前に現れた回転寿司を、我々はファインダー内に現れた回転被写体をゲットするというわけである!
是非チャレンジしてみてくれ!
PS:
自分は魚の撮影をする時、被写体の特徴が解りやすいよう真横から狙うファイトが多い。当たり前の話だが、真横になれーと思っても、魚達は言う事を聞いてくれない。
実はこの流れを利用したファイトは真横からの図鑑的な撮影に持ってこいなのだ!
前回お伝えした「バトルロイヤル撮影」と併用すれば、一箇所のリングで何種類もの魚達とファイトができるぞ!
夢中になりあっという間に時間も過ぎてしまうので、残圧と減圧には十分注意してファイトをしてほしい!
贅沢な内容の濃いファイトになること間違いなしである!
よーし、行くぞー!
1・2・3・ファイト・ダーッ!